子どもが「どうするか」を大切にしています
臼井幼稚園の造形活動は、きれいな作品や、上手な作品を完成させるための活動ではありません。
子どもがさまざまな素材や道具に出会い、
「これ、どうなるんだろう」
「やってみたい」
「こうしたらできるかな」
と、自分で試し、考え、工夫することを大切にしています。
何を作ったかという結果よりも、その子がどう考え、どう試し、どう表そうとしたのか。
臼井幼稚園では、その過程そのものを造形活動と考えています。


素材に出会い、まずは遊ぶ
ダンボール、箱、牛乳パック、カップ、毛糸、布、ひも、リボン、テープ、紙、絵の具、木材など、子どもたちはさまざまな素材に触れます。
最初から「これを作りましょう」と完成するものを決めるのではありません。
切ってみる。
つなげてみる。
重ねてみる。
穴をあけてみる。
色をつけてみる。
実際に素材に触れることで、
「これは曲がる」
「これはくっつかない」
「もっと長くしたい」
「どうしたら立つかな」
という発見が生まれます。
大人から教えられて覚えるのではなく、遊びながら素材の特徴や道具の使い方を知っていきます。


うまくいかないことも、造形の一部です
作っている途中では、思った通りにならないこともあります。
テープがはがれる。
作ったものが倒れる。
切りすぎる。
思っていた形にならない。
そんな時、大人がすぐに直してしまえば、きれいには仕上がるかもしれません。
でも、子ども自身が、
「じゃあ、どうしよう」
と考える機会はなくなってしまいます。
もう一度試す。
別の材料を使う。
友だちのやり方を見る。
誰かに助けを求める。
うまくいかないことも含めて、子どもが自分で考える時間を大切にしています。


完成を求めません
造形活動では、見本通りに作ることや、全員が同じものを完成させることを目的にしません。
必要な道具の使い方や安全に関わることは伝えます。
けれども、
「ここにこれを貼って」
「次はこれを作って」
「この形にして」
と、大人が誘導することはありません。
100人の子どもがいれば、100通りの考えがあります。
何を作るのか。
どう作るのか。
どこまで作るのか。
子ども自身が決めることが、次に表現することにつながると考えています。





壁面づくり
臼井幼稚園では、保育室を飾る壁面も子どもたちが作ります。
年度の初めは、絵の具を塗ったり、大きな紙や素材を扱ったりするところから始まります。
年齢や経験を重ねるにつれて、友だちと一緒に作ることも増えていきます。
「何を作ろうか」
「ここはどうする?」
「私はこれを作る」
相談したり、役割が生まれたり、一人ではできないことを友だちと一緒に考えたりします。
完成した壁面だけを見るのではなく、そこへ至るまでの子ども同士のやり取りも、大切な造形活動の一部です。



11月は「造形月間」
臼井幼稚園では、毎年11月を造形月間としています。
ダンボールや箱、牛乳パック、カップ、毛糸、ボタン、絵の具など、たくさんの素材を使いながら、約1か月にわたって造形遊びを行ないます。年中や年長では自分たちでテーマを決め、グループに分かれてテーマに沿ったものを作っていきます。遊びながら子どもたちの発想が広がったり、変ったり、作るものも変化していきます。
作って終わりではなく、その場所で遊ぶ。
遊びながら、また作り直す。
造形と遊びが行き来しながら続いていく1か月です。
描画活動
絵を描くことも、大切な造形表現の一つです。
臼井幼稚園の描画では、見本のように描くことや、上手な絵を完成させることを目的としていません。
色や形、絵の具、コンテ、クレパス、墨など、さまざまな材料用具との経験を積み重ねながら、子どもが自分の方法で表すことを大切にしています。
描画については、考え方や活動の進め方を別のページで詳しくご紹介しています。
「絵手紙」について
人には、自分が感じたことや考えたことを、誰かに伝えたいという気持ちがあります。子どもにとって絵を描くことも、その大切な表現方法のひとつです。
しかし、「描きたい」「伝えたい」という気持ちは、ただ紙や画材を用意すれば生まれるものではありません。自分が表したものを受け止めてくれる相手がいること、そして「伝えても大丈夫」「わかってもらえる」と感じられる関係があることが大切です。
特に、自分の思いを言葉で伝えることが得意ではない子どもにとって、絵はもうひとつのコミュニケーションの手段になります。だから、「絵手紙」の活動はは小さい学年の方が多く、年齢が上がると減っていきます。
子どもが描いた絵を担任が受け取り、その絵について子どもの話を聞きます。
「これは何?」と大人が正解を当てるのではなく、
「こんなことを描いたんだね」
「そう思ったんだね」
「それを先生に伝えたかったんだね」
と、その子が絵に込めた思いを受け取ります。
描画と絵手紙は、描くことそのものが、自分の内側にあるものを誰かへ伝える行為です。
そして、そこで最も大切なのは、描画の技術ではなく、子どもと教員との間にある信頼関係です。
自分が表したものをしっかり受け止めてもらう経験は、「また伝えたい」「また表現したい」という気持ちにつながります。
臼井幼稚園では、絵を一方的に評価するのではなく、子どもから届いたメッセージとして受け取ることを大切にしています。


